論点

住宅数が世帯数を上回った、その先へ

個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。

55年前に逆転した #

日本で住宅の数が世帯の数を初めて上回ったのは、1968年です。

総務省統計局の住宅・土地統計調査では、この年の住宅は2,559万1千戸、世帯は2,532万世帯でした。1963年までは世帯の方が多く、1968年に関係が逆転しています。

2023年には、住宅が6,504万7千戸、世帯が5,621万5千世帯になりました。単純に差を取ると883万2千戸。1世帯あたりの住宅は1.16戸です。空き家は900万2千戸で、住宅全体の13.8%を占めます。

数が余ることと、使えることは違う #

ただし、全国の住宅数が世帯数を上回ることと、必要な人が必要な家を選べることは同じではありません。

住宅には、場所、状態、広さ、価格、所有者の意向があります。空き家にも、賃貸用、売却用、別荘などの二次的住宅、そのほかの長期不在・取壊し予定の住宅が含まれます。したがって、883万2千戸という差を、そのまま「自由に使える余剰住宅」と読むことはできません。

住宅・土地統計調査は、全国から住戸を抽出して全体を推計する標本調査です。また、1958年から1968年までの数値には沖縄県が含まれていません。数字を比較するときには、この範囲も残しておく必要があります。

問いを変える #

住宅が足りない時代の中心的な問いは、「何戸つくるか」でした。

その逆転から55年後の2023年には、住宅は世帯より883万2千戸多くなりました。現在の問いは「何戸つくるか」だけでは足りません。どの場所で、どの家を残すのか。直して次の人へ渡すのか。別の用途で使うのか。役割を終えるのか。

住宅の数を増やす問いから、今ある住宅をどう扱うかという問いへ。

全国の総数だけで個別の答えは出ません。それでも、問いを切り替える必要があることは、この55年分の数字から読み取れます。

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更新履歴 #

出典

田村 啓「住宅数が世帯数を上回った、その先へ」2026-09-15, https://keitamura.com/issues/housing-outnumbers-households/